Who is the worst guy? 女性ありver.

エリック・リンクス→ディーンの相棒。喧嘩が生き甲斐のラガーマンだった。ファミリーに入る。近接専門で見た目の良さと線の細さからエリーと呼ばれるがその度にキレる

ディーン・パイソン→エリックの相棒。プロの殺し屋。普段は飄々としている。ヘビースモーカー。

マイク→手の早い泥棒。ハッキングや機材担当兼4人組の資金源調達係。金に目がない

アラン→ディーンに弟子にしてほしいと付け回る。


情報屋→バーの奥にいる。ディーンだけ会う方法を知っている。

                    • -

エリック ♂
ディーン ♂
マイク ♂
アラン ♂
情報屋 ♂
CIA ♂(アラン兼役)

                      • -



エリック「チッ。弱え癖に向かってくんなよ。だから死ぬんだよ。ったく....」(タバコに火をつける)


パチパチパチと、拍手の音が聞こえる。

エリック「あ?んだよ、誰だおめェ」

ディーン「流石だなぁ。ナイフ相手に丸腰で相手を殺すなんてよ、それで?その血は全部返り血ときた....いいねぇ」

エリック「誰だっつってんだよ、こっちは」

ディーン「おぅおぅ。殺意がすげえな、兄ちゃんよ。俺は怪しいもんじゃねえ。」

エリック「そんなまさに殺し屋みてぇな格好して何が「怪しいもんじゃねぇ」だよ。ったく」

ディーン「ご名答。」

エリック「チッ。やっぱそうじゃねえかよ。で?俺とやるのか?」

ディーン「殺し屋は表立って闘うもんじゃねえ。魂(タマ)取るならもうとうに殺ってるさ」

エリック「んで、言いたいことは何なんだよ。早く言え。コッチはシャワー浴びてぇんだよ」

ディーン「俺と組まねぇか?エリック?」

エリック「顔割れてんのかよ....」

ディーン「当たり前さ。コッチの世界ではお前さん有名だぜ?「返り血のラガーマンエリー」ってな」

エリック「エリーじゃねえ!エリックだ」

ディーン「で、答えは?」

エリック「俺が殺し屋稼業かよ....銃は嫌いなんだ」

ディーン「相手が必ず死ぬって評判だったんだがな。その腕を買って声掛けてんだ。どうすんだ?」

エリック「....わぁーったよ、暴れりゃいいんだろ?だが銃は使わねぇ。それでいいなら乗ってやる。」

ディーン「問題ねぇ。....ははっ、さしずめボニーandクライドってとこかねぇ?」

エリック「へっ。悪くねえ」

ディーン「じゃあ宜しくな、相棒」

エリック「....相、棒....?」

ディーン「当たり前だ、これからは俺とお前は相棒だ」

エリック「相棒....かぁ」




ディーン「よぉ」

マイク「おーディーンちゃん意外とはやいじゃねぇの」

アラン「あ、どうもー」


ディーン「こいつが俺の相棒、エリックだ」

エリック「なんだコイツら」

マイク「うぉ!?おめぇ血塗れじゃねえか!!」

エリック「あ?」

ディーン「血塗れのラガーマンの実力を見てきたとこだからなぁ」

エリック「だからてめぇら誰だって」

マイク「俺様はマイク!!天!!!才!!!ハッカー様だ!!!へへん」

エリック「うるせぇ。相棒、このやかましい野郎潰していいか」

ディーン「まぁ待て待て、こいつの能力はほんとに天才さ、俺らの金回りはこいつが全部担当してくれてんだ」

マイク「そうだぞ!?殺すのは良くねぇぞ!?」

ディーン「新しい仲間なんだ、握手ぐらいしたらどうだ」

マイク「んてことでよろしくな!エリックちゃん!!!」

エリック「あ、あぁ」

アラン「俺は、あ、アランと申します....僭越ながら....ディーンさんの弟子をさせて頂いてます!よろしくお願いします!」

エリック「おい、このヒョロいのはこんなこんな稼業やってけんのか?」

アラン「頑張ります!!なので....よろしく」

エリック「おぅ。」

ディーン「俺はディーンだ、相棒。」

エリック「よろしく....」

マイク「なんかファミリーっぽくね!?」

ディーン「....そうだな、これからの仲間に乾杯....と行きたいところだが、その血塗れの状態じゃあなぁ」

アラン「ここの酒場もクローズにしてもらってますんで、人目にはつきませんよ」

マイク「じゃあ飲もうぜ!!!!!」

ディーン「新しい仲間に!乾杯!」

エリック「....へへ」





バンの中


エリック「あー、あちー。」

アラン「今回もマイクさんとディーンさんの仕事ですもんね」

エリック「あー。「逃げ道の確保だ」とか言いながらよォ。ただの待機じゃねえか。何年経っても待機とかめんどくせぇ」

アラン「銀行強盗かあ....俺もはやくそういう風になりたいなあ」

エリック「物好きだな、お前」

アラン「だって早くディーンさんのように格好良く銃ぶっぱなしたいです!」

エリック「は!へっぴり腰でデザートイーグルの反動でコケたのは誰だよ」

アラン「あれは....まぐれです」

エリック「へー?」

アラン「....あれはいいんです!!!それはそうと、エリックさんはなんでディーンさんと組むことになったんです?」

エリック「あー....あれだ、スラムで....拾われたんだよ」

アラン「スラム!?」

エリック「あ、言ってなかったっけか?俺、スラム育ち。親はちっせえ時にくたばった。」

アラン「くたばったって....」

エリック「普通に楽しく過ごして....普通に朝起きたら、....目の前で二人揃って殺された。殺し屋が俺に背を向けて「元気でな」って笑いながら去ってってよ....そんな所なんだよ、スラム街ってのは」

アラン「そう、なんですね....なんだか....ごめんなさい」

エリック「あーあー。もういいか?湿っぽいのは御免だ、この話は終わり。」

アラン「はい....」







ディーン「計画はシンプルだ。いいか?俺がカメラを銃で壊す。」

マイク「その瞬間に俺が金庫のセキュリティを解除して入る」

ディーン「そのあいだ俺は銀行内の人間が騒がねえ様に定期的に威嚇射撃」

マイク「ありったけの金詰めたら俺はダッシュでバンに入る。」

ディーン「おれもバンに逃げ込んで相棒に、バトンタッチだ」

マイク「お金ちゃーん待っててくれよー?」

ディーン「今は御託は無しだ。いいか、突入するぞ」

マイク「あいよー?天才ハッカーに任せろいディーンちゃんよ!」



銃声


エリック「おー。始まったか。」

アラン「マイクさん大丈夫でしょうか」

エリック「あの守銭奴はよっぽどの事がねえ限り死なねえよ」

アラン「でも、ディーンさんが失敗したら...」

エリック「おい!!....俺の前で、相棒がミスるなんて二度と言うなよ?」

アラン「!?」

エリック「相棒は、しくじらない。ボンボンは黙って待ってろ」

アラン「あ、....はい。すみませんでした....」

エリック「いいか、無線が入ったら銀行にビタ付けすんぞ。命の保証はしねえ。」

アラン「はい!!」

ディーン(無線)「成功だ相棒、来い!」

エリック「噂をすれば、だな。行くぞ。」




マイク「きたきた!!俺達のバンだ!よいしょっ!エリックちゃんさんきゅー!」

エリック「ゴタゴタうっせぇ。相棒は!?」

マイク「もう来る!安心しろぃ」

ディーン「っだぁっ!間に合ったぜ!相棒!出せ!」

エリック「わーってるよ!!行くぞ!」

アラン「エリックさん!免許は!?」

エリック「んなもんねぇよ!!!」


アラン「嘘でしょぉぉおおおおおぉぉう....」





アラン「ゼェゼェ…ハアア…死ぬかと思いました…」

ディーン「…(煙草に火をつけて)ふぅ。相変わらずぶっ飛んだ転がし方だな、エリー?」

エリック「誰がエリーだ!ったく…嫌ならてめぇが運転しろ。俺だって暴れてぇのによ…最近鈍っちまって仕方ねえや。」

マイク「おっ金ちゃーん!!会いたかったよ…」

エリック「お前、ほんと金好きにも程があるぞ」

ディーン「まぁそんなに目くじら立てんなよ相棒?こいつのお蔭で俺らが暴れ回れてるんだ、大目に見てやってくれ」

アラン「そうですよエリックさん、マイクさんが居なかったら僕ら今頃行き倒れですよ」

エリック「そういうお前は相棒にくっ付いて回ってるだけじゃねえか」

アラン「…っ」

ディーン「どうした、アラン」

アラン「なんでも…ありません…」

エリック「チッ。気に入らねえ。」

マイク「まぁまぁエリックちゃんよ、今日の収穫は次のヤマの為でもあるんだぜ?」

エリック「あ?」

ディーン「そうだぜ相棒?喜べ、次は暴れられる。」

エリック「マジかよ!!」

ディーン「だが…リスクが高い。問題ないか?」

エリック「んなもん答えは決まってんだろ!暴れてぇんだよこっちは!!」

アラン「り、リスクとは…なんでしょう?」

マイク「お?気になんのアランちゃん」

エリック「関係ねぇ。ブチ殺しゃあいいんだろ?」

ディーン「まぁそうだな。だがエリック、お前は20人以上相手できるか?」

エリック「当たり前っつーの!楽勝に決まってんだろ!」

ディーン「言うと思ったぜ。さすが相棒だ」

アラン「20人…!?正気ですか!?」

エリック「正気なら俺はここにいねぇよ。ボンボン。」

マイク「エリックちゃんは強いからお蔭で俺は楽できるってもんよ」

ディーン「楽って…マイク、お前戦闘はからっきしだけどな」

エリック「機械オタク」

マイク「おい!!!天才ハッカーって言え!!!」

エリック「あー。うっせえうっせえ。」

アラン「とりあえず、20人をエリックさんが相手にって…どんな作戦なんです?」

ディーン「あぁ。今回もシンプルさ。相棒が暴れてる間に、俺がメインターゲットを殺る。」

エリック「メインターゲット?」

ディーン「ジョージ・マイヤー、別名『死の提供者』。麻薬密売で私腹を肥やしてる。マフィアを金とヤクで雇って守らせて、自分は安全な場所で高見の見物ってやつさ。」

マイク「死の提供者に死を送り金を提供してもらうってな、皮肉だぜ」

エリック「その三下マフィアを殺りゃあいいんだな。俺は。」

ディーン「その通りだ、くたばんなよ?」

エリック「くたばるつもりなんかねぇよ。」

アラン「あの…すみません、俺は何をすれば…」

ディーン「お前はバンで待機だ、無線で状況は分かるようにしておく。足手まといになるなよ?」

アラン「…」

マイク「あら?ビッグなヤマにビビっちゃってるのアランちゃん?」

エリック「お前が言うな機械オタク」

マイク「だから!!!!天才ハッカーだってーの!!!」

ディーン「その天才ハッカー野郎にはいつもの如く、ありったけの金を持って帰ってもらう。状況把握だって大事な仕事さ?分かるか?」

アラン「…わかりました」

ディーン「よし、いい子だ。」

エリック「決行はいつなんだ?」

マイク「2日待ってくんねぇかな、スナイパーライフルだって弾だってナックルだって安くねえんだ、調達には時間がかかる。今回はギャングじゃねぇ、三下であろうがマフィアが相手なんだ、備えあれば憂いなしってな。」

エリック「チッ....仕方ねえ。」

ディーン「アジトでビール片手にゆっくりするといい。2日後、存分に楽しむ為にな。」

エリック「あいよ。」







アジトにて

エリック「あーーー。暇だーーー。」

ディーン「すまねぇな、相棒。最近のヤマは金関連だったからな。今回は存分に暴れてくれよ。おら、ビールだ」

エリック「おうよー。(ゴクッゴクッ)ぷはー。」

ディーン「俺も、今回のヤマは楽しみにしてんだ、腕が唸るってもんよ」

エリック「てめぇ本職だからな。....ったく早く暴れてぇってのにこんなモーテルに缶詰は勘弁だ」

ディーン「我慢してくれ、マイクが今血眼で武器の調達してんだ、ちょっとぐらいのんびりしようぜ」

エリック「わーってるって。....ったく。....あ、そう言えばよ」

ディーン「なんだ?」

エリック「相変わらずアランのボンボンは別のモーテルなのか?」

ディーン「あぁ。ぽっと出のボンボンが急に悪党になりたいだなんてぬかしてよ....俺としてはまだ信用に足りてねぇからな。あと、アジトは自分で確保するってアイツから言い出したことだ。」

エリック「ほーん。まぁ、興味ねぇけどな。」

ディーン「ははっ、お前さんらしいよ」

エリック「興味ねぇもんは興味ねぇんだよ。....お。ビールが空いちまった。まだあるか?」

ディーン「あぁ、たらふく買っておいた。そこの冷蔵庫にぶっ込んである」

エリック「サンキュ」

ディーン「あんまり呑むと腹が出るぞ?」

エリック「うっせぇ」





マイク「だぁぁぁ重い!ディーンちゃん、エリックちゃん、手伝ってくれ!!!」

ディーン「おー。参謀のお帰りだ」

エリック「今忙しいから無理だー(わざとらしく)」

マイク「もういいよ!!っよいしょっと!....腰がやられるかと思ったぜ....」

エリック「ひ弱の機械オタクはヤマこなす前におっちんだとさ」

ディーン「ハハッ!違いねぇ」

マイク「ゼェゼェ....んな事言ってると、調達したブツやんねぇからな!」

ディーン「ハハハッそれは勘弁だ。悪かった悪かった」

エリック「えらく早いじゃねぇか。」

マイク「ゼェゼェ。コレで終わりじゃねぇ....ジョージ・マイヤーの根城や侵入経路を....ゼェゼェ....調べる必要がある....」

エリック「ああ?んなの正面突破すりゃいいだろ」

ディーン「それがそうもいかねぇ、相棒は正面突破でも構わねえが、俺が困る。さすが金の亡者。セキュリティも一丁前に張り巡らしてんだよ。マイクの仕事はこれからさ」

エリック「へぇ?」

マイク「これからが俺様天才ハッカーが活躍すんだよ!敬え!!」

エリック「あー、またあのパソコンってヤツ使うのか?」

マイク「ただのパソコンじゃねぇ、俺様専用スーパーハッキングシステム搭載だ!」

エリック「ふぅん」

マイク「ふぅん!?俺様の凄さ伝わってねぇなこれ!」

エリック「あぁ。全く。」

マイク「俺様悲しい!!」

ディーン「まぁマイク、今回も頼むぜ、俺らは束の間の休息ってのを満喫してるさ」

マイク「うぅ....俺様....凄いのに....ぐすっ」

エリック「後ろで見ててやるよ、どうせ暇だし」

マイク「....ふんっ!じゃあ俺様の勇姿を目に焼き付けとけ!」

エリック「へーへー。」

ディーン「俺は今から少し出てくる。....うぇ」

マイク「どうしたディーンちゃん?」

ディーン「何でもねぇよ、後は頼む」



マイク「....流石三下麻薬王、セキュリティがガバガバだぜ、これをこうしたら....カメラも赤外線もオフにできるみてぇだな」

エリック「ぐー....ぐかー....」

マイク「おいエリック!見とくんじゃねえのか!」

エリック「んがっ!?」

マイク「寝てんじゃねぇよ!俺様が天才的プログラミングしてんのによ」

エリック「....あー。俺文字読めねぇんだよ、その画面見てたら勝手に寝ちまった」

マイク「....いいから!画面見てみろ!」

エリック「わかったよ。」

マイク「コレはあいつの根城の地図だ。正面口は、ここだ」

エリック「おう」

マイク「お前はこの正面口に突っ込む。そしたら護衛のマフィアたちが必ずやって来る。一人残らず片すんだ。できるか?」

エリック「何回も言ってるだろ?答えはYesだ」

マイク「いいねぇ。あとはその奥はセキュリティが張り巡らせてる様だが、このマイク様にかかりゃちょちょいのちょいよ。ディーンちゃんも気楽に侵入出来るってもんさ。」

エリック「で、終わったのか?その、何とかミングっての」

マイク「あと一息だな。もうちょい待ってくれ。」

エリック「そんな座ってばっかだとディックがショートホープになっちまうぜ?」

マイク「うるせぇ!!!脳筋野郎!!」





別モーテル

アラン「今の所は....はい。そうですね。....まだ様子見ですか....はぁ....わかりました。」




アジト

エリック「父ちゃん....母ちゃん....うぅ....」

マイク「ん?珍しくうなされてやんの」

ディーン「汗までかいてら....起こしてやるか....おい!!相棒、大丈夫か」

エリック「ッ!?....く、来るなぁぁ!!」

ディーン「おい、どうしちまったんだ」

エリック「....!?....悪い....夢見が悪かっただけだ....」

マイク「エリック....?」

エリック「昔の....夢見ちまっただけだ、気にすんな」

マイク「な、ならいいけどよ。」

ディーン「....。」

マイク「とりあえず落ち着こうぜ?」

ディーン「ゆっくりしてろ、と言いたいところだが、マイクの準備も俺の武装も終わったところだ。動けるか?」

エリック「あぁ。....問題ねえよ」

マイク「と、とりあえずバン出してくるぜ!!アラン放ったらかしにしちまった!」

ディーン「おう。じゃあ、行くか。」

エリック「おう」






バンの中


アラン「バンも新しいものに変えたんですね」

マイク「そりゃそうさ!銃弾にも強い装甲に改造したんだぜ?おかげで....せっかくのお金ちゃんが....沢山いなくなっちまった」

ディーン「よいしょ、おぉ、シートも新しいじゃねえか。」

マイク「武器もたんまりぶっ込めるようにしたぜ」

ディーン「ありがたい限りだ、なぁ、相棒?」

エリック「....あぁ。」

アラン「エリックさん、どうかしたんですか?」

エリック「何でもねぇよ」

マイク「エリック坊っちゃんは夢見が悪かったんだとよ」

エリック「るっせえ機械オタク!!」

マイク「なんだと脳筋!!!」

ディーン「ははっ、いつもの調子に戻ったな、相棒」

エリック「ハッ!やかましい機械オタクのおかげでな!!早く飛ばしやがれアラン!」

アラン「わっわかりました!!」

エリック「俺の分の装備はっと....おー!ナックルまであんじゃねえか!カッケーんだよこれ!」

マイク「ありったけの近接武器揃えてきたぜ?」

エリック「トンファーに、カリスティック....モーニングスターまであるじゃねえか!ぶん回して脳天かち割ってみてぇ!」

ディーン「相棒、ガキみてぇに喜ぶのは良いが内容が....」

エリック「あ?」

ディーン「内容が穏やかじゃねえな」

マイク「まーまー。今から穏やかじゃ無い事してくんだから」

ディーン「はっ、違いねぇ」

マイク「エリックちゃん、必要なら銃も持って行ってもいいんだぜ?」

エリック「銃は....俺は大嫌いだ。」

マイク「そ、そうかい。」

ディーン「だからお前さんは近接に拘るんだな」

エリック「銃は....俺の両親の命を奪った....俺は今もずっと覚えてる、殺した奴の後ろ姿....」

アラン「後ろ姿?」

エリック「スキンヘッドに、首に蛇のタトゥー。....忘れたくても忘れられねぇよ」

ディーン「........はは、そうかい。よっぽど性根の腐った野郎なんだろうな」

エリック「....何を思ったか、俺を殺さずに笑って出て行きやがった....クソっタレが....」

マイク「エリックちゃん、そろそろ機嫌直して武器を決めてくんねえか?もうそろそろ着くぜ?奴の根城に」

エリック「....ナックルとナイフ....これで十分だ」

マイク「正気か!?それで敵を捌けるわけ....」

エリック「俺は、出来る。なぁ?相棒」

ディーン「返り血のラガーマンエリー。その名は伊達じゃねぇって所を見せてもらおうか。」

エリック「だからエリーじゃねぇって!ったくよ....」

ディーン「俺も準備するとするか。よいしょっと」

エリック「RPG!?暗殺じゃねえのかよ!?」

ディーン「お前が正面玄関に行ったところで護衛全員が襲いに来るとは限らねえからな。オレがこいつで玄関をぶっ飛ばす、そこでお前さんが突入だ。いいか」

エリック「お、おおう、頼むから俺までぶっ飛ばすなよ?」

マイク「無駄遣いしやがってよぉ....高かったんだぞRPG....」

ディーン「無駄じゃねぇ。陽動だ。」

アラン「今回はえらく派手ですね....もう着きますよ!!!」

エリック「一旦停めてくれ。っしょっと。俺は一足先に向かっとくぜ。相棒、派手にやってくれ。」


ディーン「任せとけ」





エリック「爆風で死なねぇようにしなきゃなぁ....この辺か?....よし」

ディーン(無線)「相棒、準備は出来たか」

エリック「いつでもいいぜ、ぶっ放してくれ!!」


(爆発音)


エリック「おーおー。ド派手だなぁ。あー来た来た。....いっちょ、暴れてやっか。....ウォラァァァァァ!!!」






マイク「おーおー。暴れてる暴れてる。」

ディーン「期待以上だな。」

マイク「しかし、あんなナイフとナックルなんかで突破できのか?俺様心配だぜ」

ディーン「....ふっ。知らねぇのか」

マイク「何がよ?」

ディーン「銃は確かに殺傷能力は高い。だが近接に持ち込まれたら....ナイフの方が強いんだ」

マイク「へぇえ....どっかで聞いたことあるセリフだな」

ディーン「それぐらいこの業界では常識って事だ。この俺だってアイツ相手に近接に持ち込まれたら勝てる可能性はほぼ無い。」

マイク「そーなのかい....」

アラン「見てください!増援が来てます!」

ディーン「なんだと!?....もってくれよ相棒....マイク!セキュリティは!?」

マイク「今やってる!!!20秒待ってくれ!」

ディーン「クソ...あの人数じゃあ流石の相棒でも....」

アラン「マイクさん!まだですか!」

マイク「うるせぇ!!!....よしっ!ディーン!北西方面のでけぇダクトがあるだろ!そこから入れ!そこからのセキュリティは全部こっちで切ってある!だが復旧される可能性も十二分だ!10分でターゲットを殺せ!」


ディーン「無茶言いやがる...わかった、行ってくる」


マイク「弱小マフィアの癖して....ちくしょう....おい、エリックちゃん!!無事か!」

エリック(無線)「かろうじてな!だが人数が多すぎる!」

マイク「すまねぇ、それはこっちの誤算だ!ディーンちゃんがジョージをすんなり落としてそっちに合流出来るはずだ!!ディーンちゃんから無線が来るまで頑張ってくれ!」

エリック(無線)「わかった!!なんとかする!!」


マイク「無事でいてくれよ...」

アラン「....マイクさん、RPGはあと何発ありますか」

マイク「ちゃんと予備であと2発は...ってお前!!何するつもりだよ!」

アラン「ディーンさんの言葉を借りるなら....陽動です。」

マイク「へなちょこなお前に出来るわけねえだろ!!!!」

アラン「....館内でまた爆発が起きれば、エリックさんに集中しているマフィアたちはどうなりますか」

マイク「そりゃあ...爆破の方に人数がわかれるだろうよ....じゃなくてお前!!出来んのかよ!!!」

アラン「エリックさん!!そのまま時間を稼いでください!!」

エリック(無線)「んだよわかってるよ!!」

アラン「....よし」



(爆発音、何秒か後に爆発音)


ディーン(無線)「おい!!今の音どういう事だ!!!」

マイク「チッ。すまねぇディーンちゃん!RPGでさらに陽動させてもらった!!」

ディーン(無線)「不幸中の幸いってか!?....ジョージは殺した!俺はエリックに合流する!」

マイク「わかった、頼む!!!」

ディーン(無線)「生き残れるように祈っててくれ!じゃあ後でな!」

マイク「....たく....勝手なことしてくれたな!」

アラン「....す、すみません....なにか役にたちたくて....」

マイク「今回は逆境を打開出来たから何も問わねえ。次勝手な事したらお前の命はねぇぞ。」

アラン「....」

マイク「分かってんのか!!」

アラン「わかりました....すみません....」


エリック(無線)「おい!なんか爆発しまくってたけどそっちは大丈夫か!」

マイク「心配には及ばねぇ!そっちは!」

エリック(無線)「俺は問題ない!ディーンが来たからむしろもう終わる!!」

マイク「そりゃあよかったぜ!!生きて帰ってこいよ!」

エリック(無線)「当たり前だ!!」





バンの中

エリック「ゼェ....ゼェ....」

ディーン「今回ばかりは....俺でも肝っ玉が冷えたぜ....」

エリック「相棒、....サンキュな」

ディーン「いいって事よ」

マイク「二人とも、おつかれさん。」

ディーン「あぁ、マイク、あとは任せた」

マイク「任せろい、....良く生きて帰ってくれた」

エリック「んな簡単に死ぬタマかよ」

マイク「....へへ、そうだな。んじゃ、金の回収行ってくら。」

ディーン「おー。死ぬなよー」

マイク「一人残らず掃除しといて言うセリフかよ。じゃ、後で」



アラン「お二人共、ご無事で....何よりです」

ディーン「暫く、休ませてくれ....スナイパーには辛い運動だったぜ」

エリック「俺も。20人から何人殺ったか覚えてねぇよ。あー疲れた。」

アラン「にしては頬のかすり傷で済んでるあたり、『 返り血のラガーマンエリー』は健在だったようですね」

エリック「るっせぇ。万年待機野郎」

アラン「....。」

エリック「とりあえず、俺もちっと休憩だ。アラン、見張ってろ。」



アラン「....はい。............お疲れ様です。」




アジト

エリック「あーやっぱりベッドはいいねぇ。死ぬときゃベッドか女の上で死にてぇな」

ディーン「ハハハッそりゃ男の本望ってもんだ!」

マイク「ちょっと休憩しただけなのにそんなに軽口叩けるのなおめぇら。感心したよ。」

エリック「あ?おめぇみてぇなショートホープ野郎じゃねえからなぁ?なぁ相棒?」

ディーン「ハハハハハッショートホープ!!違いねぇ!!」

マイク「ディーンちゃんまで!!!俺はマグナムだってんだよ!!」

エリック「じゃあ今すぐ見せてみろよ?」

マイク「やだよ!!」

ディーン「ショートホープ決定だな!ハハハッ」

エリック「んだよ確認してやろうと思ったのに....。」

マイク「なんでちょっと残念そうなんだよ!!俺様脱がねぇぞ!!」

エリック「いやおめぇの裸見ても何の得もねぇしやめとくわ」

マイク「....賭けてもないギャンブルに負けた気分だぜ....」

ディーン「あ、そう言えば、だ」

エリック「ん?なんだよ」

ディーン「次のヤマなんだが」

エリック「早くねぇか!?」

ディーン「安心しろ、俺達が本調子になってからの話だ。」

マイク「次の狙いは?」

ディーン「今回は金絡みじゃねぇんだ」

マイク「俺いち抜けー」

ディーン「まぁ、聞け。次表立って動くのは俺だけだ。」

マイク「ほー?」

ディーン「次の狙いは....闇オークションの大元締め、チャーリー・ウェッソンだ」

エリック「俺でも聞いた事あるぞその名前....確か、大手の貿易商だろ?」

ディーン「あぁ。表ではな。」

マイク「麻薬、武器密輸、人身売買、売春....商売と着くものなら何でも取り引きしやがる、大手社長の皮をかぶった趣味の悪い大富豪だよ」

エリック「そいつの暗殺か?」

ディーン「あぁ。まだ作戦は考えてねぇ。」

エリック「んだよ。決まってねぇなら言うなよなー。」

ディーン「その前に、この疲労が取れたらパーッと行かねぇか?」

エリック「おいまじかよ!最近ビールばっかで飽きてたんだよなー!」

マイク「エリックちゃーん?充分に休んでからねー?その身体で呑んだらアルコールが回る前にぶっ倒れんぞー?」

エリック「っクソッ!....わーった今からもう寝る!!!スコッチ飲みてぇんだこっちは!!」

マイク「はいはいさっさとお眠になりやがれー」

ディーン「俺も、少し寝る....マイク、なにか動きがあったらすぐ起こしてくれ」

マイク「了解ー。....さーて俺はポルノでも見るかねー」




別モーテル


アラン「はい、....そうですね....ジョージ・マイヤーは射殺されました。はい。....また様子見ですか....はい。悟られないよう注意を払います。....はい。」

電話を切る

アラン「ったく....下手に出てやってんのに調子に乗りやがって....クソ」






エリック「酒だ酒だ!酒が飲めるぜ!」

マイク「偉くご機嫌だなエリックちゃん」

ディーン「そりゃあスコッチなんてもんはご無沙汰だろうしな。」

アラン「あの....俺もお誘い頂いて....いいんですか?」

ディーン「当たり前だろうが。たくさん飲め。今日は俺の奢りだ....うぅ....」

エリック「あ?相棒?」

マイク「やったね!!じゃあ俺ブランデー!!マスター!」

エリック「俺はスコッチで!」

アラン「俺は....」

エリック「お?ボンボン、今日は好きなだけ飲んでいいんだぜぇ?」

アラン「じゃあ、ソルティドッグを....」

マイク「洒落てるねえ、育ちがわかるねぇ」

ディーン「プレーリーオイスターを。」

エリック「はぁ!?正気か!?」

ディーン「あぁ。」


置かれたプレーリーオイスター

ディーン「ゴクッゴクッゴクッ....ぶぉえぇええええ」(マイクとエリックの会話が終わるまで会話を遮らない程度に嘔吐いたり、咳き込んだりしてください。)

エリック「おいマイク、相棒どうしちまったんだよ、アレ」

マイク「知らねえのか。なんか知んねぇけどアイツ、仕事前にここに来てはあのクソ不味いカクテル飲んでトイレ行ってんだ」

エリック「馬鹿じゃねえのか」

マイク「多分マゾなんじゃねぇの?」

エリック「マゾで馬鹿だな。ま、放っといて飲もうぜマイク」

マイク「おうよー」

ディーン「おえっぷ....マスター....裏の便所借りるぜ....」

エリック「そんなに好きなのかねぇプレーリーオイスター....趣味悪ぃ」

アラン「....大丈夫ですかね」

マイク「いつもの事だから、大丈夫だろー。」





ディーン「失礼するぜ」

情報屋「また来たのか、物好きだな。まぁ、座りな。今日はポーカーにしようじゃないか」

ディーン「あぁその前にうぇっぷぇ」

情報屋「チェイサーだ。」

ディーン「あぁ、悪ぃな。ゴクッゴクッゴクッ....ぷはー....いつ飲んでもアレは慣れん」

情報屋「そうだろうな。クローズドポーカーでいいか?」

ディーン「どっちでも。テキサスでもなんでも。」

情報屋「たまにはサシで戦おうじゃないの。」

ディーン「あいよ。」

情報屋「で、今日は何の用だ」

ディーン「チャーリー・ウェッソンだ」

情報屋「あぁあの悪趣味なブタな。あ、一服どうだ?」

ディーン「そう言えるのはお前さんぐらいさ。葉巻か....お言葉に甘えるかな」(ライター音)

情報屋「で?知りたいのは?」

ディーン「不定期で開催される闇オークションの事だ」

情報屋「ほう....高くつくぜ?」

ディーン「金はある。開催はいつだ」

情報屋「来週の土曜日だ」

ディーン「で、場所はどこだ。」

情報屋「それもタダでは教えられないねぇ。ほれ、フルハウスだ。」

ディーン「金はあると言ったはずだぜ?....フォーカードだ」

情報屋「....だーっまた負けだ!相変わらずつええなディーン。しゃあねえからまけてやるよ。場所はショーパブ「イヴ」の地下だ」

ディーン「へぇ...意外と近いじゃねえか。灯台下暗しってか?」

情報屋「ハッ!地下は完全会員制だぜ?入れると思ってんのか?」

ディーン「その為にヤマこなして金稼いでんだ、おい情報屋」

情報屋「なんだ?」

ディーン「大枚叩いてやるよ。だから」

情報屋「偽造会員証をくれ、だろ?」

ディーン「話が早いじゃねぇか。頼めるか?」

情報屋「当たり前じゃねえか。お得意さんだしな。」

ディーン「その度に金ふんだくられるけどな」

情報屋「こっちだって商売だ、互いにウィンウィンで居ようぜ?ディーン」





エリック「あ"ーディーン遅ぇなー」

マイク「まだ吐いてんのか?にしては遅すぎるぜ」

エリック「ゴクッゴクッゴクッ。あー。もしかして腹下してんじゃねぇの?」

マイク「情けねえ!こいつぁ笑える!」





情報屋「アタシはチャーリーと繋がりがある。アタシも闇オークションに参加させてもらう。お前の連れが時間稼ぎするんだろ?こっちはいい頃合を合図するさ」

ディーン「おいおい、出血大サービスか?言っていいのか?そんな情報」

情報屋「優良なクライアントは大事にするタイプなのよ?アタシ。んであの悪趣味商人を殺るんだろ?協力してやるよ。アタシもアイツには辟易してんだ、スナッフを撮りたいから殺していい人間を教えろってな。」

ディーン「悪趣味も天井超えだなそりゃ。まぁ、アイツの命も土曜までだしな。」

情報屋「そうだな。ディーン、報酬はいつもの口座に頼むぜ」

ディーン「あぁ、わかった。じゃあ俺は退散するとするぜ」

情報屋「おー。グッドラックだ」

ディーン「あぁ、じゃあな」




情報屋「情報屋とは言え、アタシも肩入れし過ぎだな。まぁ、古い付き合いのよしみだ。ディーン。」




ディーン「おい、戻ったぞ」

エリック「(酔っ払いで)おーいー。トイレでくたばったかと思ったぜー!?」

マイク「ヒャハハハ!腹下してくたばるってやべぇよなー!」

アラン「....ぶっ....ふふふ」

ディーン「悪かったって....て出来上がってんじゃねえかお前ら!」

マイク「ディーンちゃんが遅いからだって!」

ディーン「俺だって....下す時はある....」

エリック「さ、俺はそろそろ出る!気分も最高だしな!」

マイク「賛成!!ぐっすり寝れそうだ!」

エリック「おー?ショートホープ野郎はお眠かー?夜はこれからだぜー!?」

マイク「ショートホープじゃねぇって!ヒャハハハ!」

ディーン「俺....飲めてねぇ....」

アラン「ご、ご愁傷様です....ぶふっ」

ディーン「お前まで酔ってんのか!クソ笑い上戸共め!さっさと帰って寝ちまえ!!」







モーテル

エリック「あー。あーーー。頭痛え。」

ディーン「ハメ外し過ぎだ、相棒」

マイク「俺....何にも変なことしてねえよな....」

ディーン「『 俺は自由になる!』って全裸になろうとしてたな。危うくブタ箱行きだったぜ?」

マイク「なんだって!!?っつー....頭に響く....叫ばさないでくれよディーンちゃん」

ディーン「自業自得だマイク。お前ら、二日酔いが取れたら作戦を練るぞ」

エリック「水くれーーー」

ディーン「....聞いてねぇな。こりゃ」






別モーテル

アラン「はい。....ディーン・パイソンは間違いなく....はい、情報屋に....はい。....次の目標....チャーリー・ウェッソンですね。....はい。分かりました。」

電話を切る

アラン「いい加減様子見は飽きたってぇの!クソが!!!あっちもあっちで今日はモーテルで待機しとけなんて言いやがって!」





モーテル

ディーン「調子はどうだ、お前ら」

マイク「頭痛は残ってるが大丈夫だ」

エリック「ふー。悪いな相棒、時間くっちまって」

ディーン「なに、構わんさ、どうせ準備に時間がかかる」

エリック「今回は俺の出番はなさそうかよ?」

ディーン「ちゃんとある。まぁ、戦闘ではないがな。」

マイク「俺は?金絡みじゃねぇとは聞いてたが乗っかった船だ、なにか役に立てるか?」

ディーン「マイク、お前にも少し役立ってもらおう。」

マイク「つーのは?ディーンちゃんの中で作戦は決まってんのか?」

ディーン「あぁ。相棒、マイク、お前らにはオークションに参加してもらう」

エリック「はぁ!?正気の沙汰じゃねえよ!売られるのは御免だぜ」

ディーン「相棒、落ち着け。参加と言っても、入札者だ」

マイク「なるほど。俺らに趣味の悪ぃ出品物を落札させろと」

ディーン「落札はしなくていい。チャーリーも入札者として参加するようだ。競り合って時間を稼いでくれ。」

エリック「んじゃあ....どうやって潜入して行けばいいんだ?」

ディーン「ハハッ。冗談言うな相棒。正面から堂々と入場すんだよ。」

エリック「は!?んなもん闇オークションつったら完全会員制が相場だろ!?会員証とかどうすんだよ!?」

ディーン「手配済みだ。間に合わせる。」

マイク「なんかスパイみてぇだな!」

ディーン「スパイなんて俺たちとやってることはさほど変わりはないさ。」

エリック「場所は?決行は?」

マイク「おい、せっかちはよくないぜエリックちゃんよお」

エリック「るっせぇ。暴れれねぇならサッサと済ませたいんだよ」

ディーン「まぁ落ち着け。場所はショーパブの「イヴ」の地下だ。」

マイク「よりによってあそこかよ!俺様何回か行ったぞ!!」

ディーン「灯台下暗しさ。んでもって、開催される日程が来週の土曜日だそうだ。」

エリック「ほー?ほぼ1週間じゃねえか。」

ディーン「そろうもん揃えたらお前らは普通に客として入れ。俺は別の場所からヤツを狙う。できるだけ時間を稼げ。いいな。」

マイク「余裕余裕!!金の話しなら俺様に任せろ!」

エリック「あー。俺もテキトーに入札して邪魔すりゃぁいいんだな」

ディーン「そういうこった。」

マイク「アランちゃんは?」

ディーン「別モーテルで待機してもらう。信用に足りんのでな。」

マイク「なんでまた」

ディーン「ジョージ暗殺の時に、勝手にRPGぶっぱなしたのはアランだろ?」

マイク「知ってたのかよ....」

ディーン「守銭奴のマイクがたかが陽動の為にRPGの弾を使い切るとは思えんな。後....一発、俺が居る場所に打ち込まれてな。そこで気づいた」

エリック「裏切り者ってことか?あのおぼっちゃまが?」

ディーン「まだ、確信は持てん。だから今回は着いてこないように言っておいた。」

マイク「てことは3人かー」

ディーン「....ふっ。」

エリック「どうした相棒」

ディーン「いや、何でもない。」





情報屋「レディース&ジェントルメン!!今宵集まってくださった悪趣味な皆様!!!大変お待たせしました!!!」

エリック「意外とすんなり入れたな」

マイク「おう、ディーンちゃんの用意周到さには頭が下がるぜ」

エリック「しっかしこんなパリッパリの服....息苦しいぜ。早く着替えてぇよ」

マイク「我慢しろい」




ディーン「....ククッ。情報屋....確かに『 参加』だなぁ....粋なことしやがるぜ」


情報屋「さぁ遂に始まります!!オークション!!開催です!!」

エリック「胡散くせぇ(小声)」

マイク「マスクなんてかぶりやがって(小声)」


情報屋「まずは!!この絵画!!1765年に若きパトリック・トンプソンが描いた名画「苦悩と苦痛」!!紛うことなき本物です!!!」


マイク「行くか?」

エリック「(小声で)待て、相棒の合図がまだ来てねぇ。間違って落札しちまったらどうする。アイツの寸法じゃ狙いをつけた出品に関してはとびっきりの額を入札するらしいぜ」

マイク「(小声で)OK。じゃあ、ディーンちゃんの合図とあのチャーリーの入札をきにきにしとけばいいんだな」

エリック「そういうこった。こういう頭使うのは俺は性に合わねぇや。」

マイク「ちょっと!今だけでもいいからお行儀良くしてろよ!」


情報屋「『 苦悩と苦痛』、3000万ドルで落札です!!」



エリック「あんな絵1枚に3000万ドル!?頭イカレてやがる」

マイク「イカレてる奴らが集まるんだろ?そりゃ額も違うってもんよ」


情報屋「さぁ!!テンポよく行きましょう!!次はこちら!!!皆様お世話になってる方も居るんじゃ無いでしょうか!?
『 クロコダイル』!!人を生かしも殺しもする魔法の薬!!」


ディーン「!?、チッ」


情報屋「さぁ!30万ドル!他には!?おお、100万ドル!!」

エリック「今度はヤクかよ....」

ディーン(無線)「『クロコダイル』を競り落とせ、エリック。」

エリック「なんでだよ!?ヤクに興味あんのか?」

ディーン(無線)「そうじゃねえ!チャーリーにも関係ねぇ!だが、市場に出回るとまずい、競り落としてくれ」

エリック「あ?ああ。予算は?」

ディーン(無線)「5000万ドルだ。」

エリック「分かった。」

情報屋「さぁ200万ドル!他には!」

エリック「1000万ドル。」


情報屋「1000万ドル!!!他には居ませんか!?」

マイク「何してんだエリックちゃん!?」

エリック「相棒からの指示だ。」

情報屋「どうやら1000万を超える方はいないようですねぇ。では、そこの美丈夫の貴方様!落札です!!!番号札と引き換えです、どうぞ!」

エリック「ふー…」

ディーン(無線)「いきなり1000万ぶち込むたァ驚いたが、良くやった。」

エリック「借りは返せよ、ディーン。」

ディーン(無線)「もちろんだ。」



マイク「本当に落札しやがった....」

エリック「俺にとっちゃあ無用の長物だけどな。」


情報屋「さぁ!!お待たせしました!!今までの出品物はよもや前座!ご紹介致しましょう!!奴隷の登場です!!」

エリック「(小声で)げ、マジで人身売買かよ」

マイク「(小声で)ここからが本番だな」

情報屋「奴隷No.1007番!!この美人は庭の掃除に夕食の準備まで!家政婦は勿論、性奴隷としても優秀です!!」

マイク「鎖に繋がれて....まるで家畜じゃねぇか」

エリック「人として生きてけないなんて俺はゴメンだね」

情報屋「おおお!!チャーリー・ウェッソン入札!2000万ドル!他にいないか!!!」

ディーン(無線)「マイク、頼む」

マイク「任せろ。時間稼ぎだろ?」

ディーン(無線)「あぁ。よろしく」

マイク「2500万ドル!!」

情報屋「お!!チャーリーに挑戦者か!!2500万ドル!」

マイク「結構吹っかけたぞ....どうだ、悩め」

情報屋「1億ドル!!!?チャーリー!4倍にしてきました!!!どうでしょうか!!!」


マイク「そんな....手持ちが....」

エリック「ん?」

マイク「どうした」

エリック「あの司会者、俺らにウインクしてきたような」

マイク「まだても付けてないのにもうヤク中かよ?幻覚じゃねえの?」

エリック「やっぱり気のせいか?....うーん」

情報屋「1億ドル!!流石に対抗者はいないかー?どうでしょうか!?」

マイク「対抗しようがねえよ....」

情報屋「では!!1億ドル!!1億ドルで落札です!!」



ディーン「流石に無茶があったか....」


情報屋「では最高でクレイジーな落札者、チャーリー!!ご起立ください!!」

ディーン「!?」

情報屋「皆様、チャーリーに拍手を!!!」

ディーン「....今だってか?....ふっ」



パーン
(チャーリー、脳天をスナイパーライフルによりぶち抜かれる。



騒めく会場。


情報屋「皆様!!!静粛に!スナイパーがまだ潜んでいる可能性があります!落ち着いて、こちらの非常口よりお逃げください!!!」

マイク「ディーンちゃん成功したんだな」

エリック「これに乗じてずらかるぞ。相棒!大丈夫か!」

ディーン(無線)「俺は問題ねぇよ。先にバンに逃げ込んどけ」

エリック「ああ。またな」

マイク「とんずらとんずらー!!」



ディーン「司会者に成りすますたぁ、粋のいい演出じゃねえか」

情報屋「だから『参加する』っつったろ?早くお前も逃げろ。」

ディーン「おう。お言葉に甘えるさ。じゃあな」






マイク「今日はお金ちゃんが居ねぇから…酒に縋りたい気分だぜぇ…」

エリック「俺も。なんか訳わかんねぇヤク手に入れただけでよー。」

ディーン「ごくろうさん。お望み通り奢ってやるよ。」

エリック「お。まじで?」

ディーン「男に二言はねぇよ。あ。アランも呼ぶか」

マイク「おうおう!」



エリック「(ゴクゴクッ)ぷはああああ」

マイク「やっぱこれだよなーー!!酒場貸し切り!ヤマ終えた後の酒!!」

アラン「ありがとう、ございます。俺までまた奢っていただいて」

ディーン「おうよ!」

エリック「はああああ今日は収入なしかあああ」

ディーン「すまないな、相棒。」

エリック「いいってことよ、前回楽しませてもらったしな」

マイク「お金ちゃああん…どこに行ったの…うおおおお」

アラン「成功したんですよね」

マイク「無視かよ!ったく....!成功も成功!!ディーンちゃんが華麗にやってくれたぜ!?」

ディーン「大げさだぞマイク、仕事をこなしただけだ」

エリック「まぁ、今回も成功してこうやって乾杯出来てんだ、めでたいじゃねぇか、なぁ?」

アラン「そうですね。流石です、ディーンさん!」

ディーン「褒めてもなんも出ねぇぞ」

マイク「俺様なんの活躍もなかったぜ....胡散くせえあの司会者が全部持ってったからよー....」

ディーン「今回は退屈させねぇぜ。マイク」

マイク「もうヤマの話か!?」

ディーン「当たり前さ。今回の為に今までの仕事があった、そう言っても過言じゃねぇ」

アラン「そうなんですか?」

エリック「まだ楽しく飲んでたいってのに....(ゴクッゴクッ)....あー。で?次は?」

ディーン「今回はちょっとばかし複雑だ。いいか。よく聞けよ。」

マイク「おう。」

ディーン「今回の相手は、CIAだ」

エリック「ハア!?」

アラン「っ!?」

マイク「ディーンちゃんよ、遂に頭が逝っちまったか?」

ディーン「落ち着け。CIAと言っても、今回は本部を相手にするわけじゃねぇよ。汚職って知ってるかお前ら?」

エリック「汚職...」

マイク「そういや良くねぇ噂は聞いたことあるぜ。ヤクの流通、売買を見逃して賄賂貰ってるヤツらが居るってな」

ディーン「ご名答。相棒、お前に落札を任せたヤクがあるだろう。」

エリック「?....あぁ、こいつか?....なんとかダイルってやつ」

ディーン「『 クロコダイル』だ。ヘロインよりタチが悪い代物だよ。」

アラン「ヘロインより依存度が高く....製造も難しくない....常用した者は肉体が腐食していく....別名「ゾンビを生み出す麻薬」....ですか」

ディーン「....よく分かってるじゃねえか、アラン。」

マイク「そんな悪魔みてえなもん黙認してんのか!?CIA様は!!」

ディーン「そういうこった。」

エリック「どっちがワルかわかんねぇな」

ディーン「そうだな、つくづく思うよ。」

アラン「では、今回は汚職CIA捜査官という事ですか?」

ディーン「1人じゃねぇ。とある支部が丸ごと汚職CIAだからな。それの殲滅だ」

アラン「....!?」

マイク「殲滅だぁ!?こないだの三下マフィアじゃあるまいし!!無謀にも程があるぜディーンちゃんよ!!」

エリック「殲滅ねぇ、良くわかんねぇけど相手ぶち殺せばいいんだろ?」

ディーン「俺とエリックは本部に叩き込む。アラン、お前も来るか?」

アラン「俺は....」

ディーン「どうなんだ」

アラン「....分かりました、着いていきます」

ディーン「初めてのマトモなヤマだ、失敗するなよ」

マイク「俺様は前線には出ねぇぞ!」

ディーン「承知の上さ。お前は俺達が暴れてる間、そいつらの口座のセキュリティをハッキングしてクロコダイルに染まった金を根こそぎかっさらってくれ。相手がCIAだ、容易じゃ無いだろうが....頼む」

マイク「おお重要任務な気がするぜ....この天才ハッカーに任せろ!!」

ディーン「お前にしかできねえからな。任せたぜ」

エリック「俺はどうすればいいんだ?相棒」

ディーン「俺と二手に別れて、相手を潰す。それだけさ。」

エリック「おし。腕が鳴るぜ!」

ディーン「質問はないか?酒場を出たらこの話は他言無用だ、分かったか」

エリック「おうよ。」

ディーン「侵入経路はアジトに帰ったら伝える。」

マイク「OK!」

ディーン「アラン、お前にも後で連絡を入れる。」

アラン「分かりました。」

ディーン「じゃあ、今んとこは問題ないな?なら........飲み明かすか!!!」

マイク「その言葉待ってたぜえぇぇ!」

エリック「よっしゃ今日は飲むぜー!」

アラン「あ、ディーンさん、....エリックさんと少し話したいんですが....いいですか?」

ディーン「....構わねぇよ」

エリック「あ?なんだ?」

アラン「エリックさん....ちょっとこっちへ」

エリック「?....おう」



マイク「なんだなんだ?恋の相談か?」

ディーン「........だといいな。」

マイク「....ディーンちゃん?」




エリック「なんだよ急に話って。俺は酒が飲みたいんだっての」

アラン「........これ以上ディーン・パイソンを信じていると、エリックさんの身が危なくなりますから。」

エリック「あ!?今なんつった!?」

アラン「....エリックさん、親を失くしたと、言っていましたよね」

エリック「?....あぁ」

アラン「貴方は親殺しの犯人を相棒と呼べますか?」

エリック「何抜かしてんだてめぇ!!!何を証拠にそんなデタラメを....」

アラン「俺は、ディーン・パイソンを追い続けていたCIA捜査官です。」

エリック「!?」

アラン「信じるかは任せます。ですが、スラム街大量虐殺事件の犯人はディーンなんですよ。俺はディーンの監視、逮捕もしくは射殺を任されているんです。」

エリック「じゃあ....今回のヤマは」

アラン「真っ赤な嘘ですよ。正義のCIAがそんなドラッグに手を染めるわけがない」

エリック「....」

アラン「アイツは....綿密に計画を練っている快楽殺人鬼ですよ。偽善を振りかざしてるようですが。」

エリック「殺人鬼....俺だって人は殺してる....!」

アラン「そもそも桁が違います。協力してくれるのであれば貴方の罪は問いません。」

エリック「相棒....いや....アイツが....俺の....」

アラン「そうです。奴は銃の名手。方法は一つだけです。今回、仕事を終えた後に合流しますよね?その際に貴方が殺すんです」

エリック「そんな....スキンヘッドに首に蛇のタトゥーだったっつったろ....」

アラン「髪型なんて直ぐに変えれます。それにあの人が常にタートルネックなのは分かってたでしょう」

エリック「....畜生....」

アラン「あなたが倒すべきはCIAではありません。かつての相棒、ディーン・パイソンです」

エリック「何でだよ....畜生!!!くそ!!!!」

アラン「協力してくれますか?」

エリック「........」

アラン「どうなんです?」

エリック「....わかった。殺るよ」

アラン「ありがとうございます」

エリック「クソが....」




マイク「アランちゃんどうしたんだろうね」

ディーン「....」

マイク「ディーンちゃん?」

ディーン「....」

マイク「ディーン!!しっかりしろ!!」

ディーン「....あ、あぁ、悪い....」

マイク「もう酔っ払っちまったか?」

ディーン「ああ、そうかもしれねぇな....」




アラン「決行の日までできるだけ普通に接してください。悟られないように」

エリック 「分かったよ.... もういいか。」

アラン「はい。.... よく考えて行動して下さいね」

エリック「....チッ」






アジト

マイク「ここが正面入口。流石CIA。糞でも立派なセキュリティが敷かれてある。
で、ここが会議室。応接間。」

ディーン「そこに到達するまでのセキュリティは全部切ってくれ。可能か?」

マイク「へへっ俺様の辞書に不可能って言葉はねぇんだよ!」

エリック「おい、ショートホープ

マイク「だからショートホープじゃねえって!」

エリック「正面入口から入って、後は単独で動いていいんだよな?」

マイク「....?お、おう」

ディーン「今回も頼むぜ。....相棒」

エリック「あぁ、ディーン(強調)」






別モーテル

アラン「次の的はやはり貴方達上層部のようです。....やっとですか。ディーン一味抹殺許可。間違いありませんね?....はい。エリック・リンクスはこちらに寝返りました。....はい、必ず。排除します。」


アラン「やっと暴れられるぜ....ククク....アハハハ!!!」





ディーン「マイク、セキュリティは?」

マイク(無線)「切ってある!復旧はすぐ来やがるだろうがな!」

ディーン「問題ねぇ。入りさえすりゃこっちのもんだ」

マイク(無線)「じゃあ頼んだぜ!」

ディーン「そっちもな!....じゃあ行くぞ、相棒、アラン」

エリック「....おう」

アラン「はい!」

ディーン「お?相棒、元気ねぇな?」

エリック「お前に!!....お前には....関係ねぇ事だ」

アラン「そんな事より突入を!」

ディーン「....よし、いくぞ!右方向応接間は相棒!任せた!アラン、そのまま直進してセキュリティを切ってるあいだにカメラを壊せ!俺は左の会議室に向かう!!」

エリック「....あいよ。」

アラン「はい!」



マイク「エリック....アランのボンボンと話してから様子がおかしいけど....なんとかなるのか....おい....。ま、俺様は俺様の仕事をこなすしかねぇけどな!! 今日も頼むよースーパーマイクシステムちゃんよぉ!」




エリック「チッ。早速雑魚か」

CIA「戦闘態勢を解除しろ。でないと....」

エリック「でないと射殺するってか?聞き飽きたんだよっ!」

バンッ(銃声)

CIA「次は当てるぞ。威嚇ではない。」

エリック「俺に勝てる奴はいねぇよ。」

CIA「貴様らが生きていては困るのでな。事実が漏れるとCIAの信用に関わる」

エリック「なっ....クロコダイルは....」

CIA「どうせアランのでまかせだろう。貴様らには死んでもらう」

エリック「アランまで....」

CIA「早く武装解除しろ。さもなくば....っ!!?」

エリック「さもなくばなんだ?言ってみろよ、あ?....まぁそのカッ切れた喉じゃ無理だろうけどな」

CIA「カハッ....うぅ....ぐぁ....」

エリック「....なぁ、お前、どう思う?ずっと相棒だって思ってたヤツが俺の両親を殺した犯人だったんだ...。そう言ってのけたアランはCIAは敵じゃないって言ったんだ....けどどうだ....結局ヤクに染まった汚職組織じゃねえか....なぁ、俺は誰を信じればいい?....なぁ、教えてくれよ」

CIA「ぐふぉっ....うぅ....」

エリック「....てめえに語っても無駄だな。死んじまえ」

CIA「ぁぁぁあ"っ!」





アラン「何処だ....アイツは!!」

情報屋「お呼びかい?」

アラン「....っ!!!!これは....全部....」

情報屋「死体だよ。」

アラン「まさか」

情報屋「銃には心得があってねぇ。そこの捜査官達が襲って来たから、自己防衛さ。」

アラン「クソォ!!!」

情報屋「お困りかい?」

アラン「お前が散々情報をばらまいてくれた上に!!俺の昇進を踏み躙った!!!」

情報屋「情報屋は金で情報を売る。仕事をした迄さ」

アラン「クロコダイル製造所のスラムも!!お前のせいで壊滅した!!」

情報屋「いいことじゃないか。」

アラン「こっちが困るってんだよ!!あ!?あそこはいい製造所だった、まさに金の成る木だ!あそこが壊滅したら!俺らの収入はどうなる!!!!?」

情報屋「収入?収入とは、そのヤクに染まった金のことか?正義を振りかざして、悪党を逮捕した報奨金か?」

アラン「正義?んなもんどうでもいいんだよ!!わかるか?あ!?俺の昇進、どうしてくれんだよ!何考えてるか訳わかんねぇオッサン追い回して、馬鹿みてぇじゃねえか!!」

情報屋「君には呆れる言葉しか出ないね」

ディーン「....はー疲れた....そういう事か、やっと合点が行った」

情報屋「遅かったじゃないか、ディーン。」

アラン「ディーン・パイソン!!!!!てめぇ!ぶっ殺してやる!!!」

パーン


アラン「え、....!?」

情報屋「ディーンは銃の名手だ。だがその銃はアタシが教えたんだよ。」

ディーン「へーへー。師匠様。」

アラン「ちく....しょう....」

ディーン「甘かったなボンボン。化けの皮はとうに剥いでたぜ?」

情報屋「もう死んでる。」

ディーン「まさかお前が撃つとはな。」

情報屋「角度から見てアタシの方が確実だったからねぇ。」

ディーン「結構なお手前で....エリック、様子はどうだ」

ディーン「無線に反応がない....おい、相棒!!」




エリック「誰が相棒だって?」

ディーン「エリック!!」

エリック「お前の事なんてもう相棒とは思ってねえよ殺人鬼さんよ。」

ディーン「....ハハ、だろうなぁ。」

エリック「全部聞いたよ.....お前が俺の親殺しだってな。首見せてみろよ」

ディーン「....これか」

エリック「蛇のタトゥー....忘れもしねぇ」

ディーン「パイソン(蛇)だからな。洒落で入れたもんだ」

エリック「クソが!!!なんで!!!なんでお前なんだよ!!!!」

ディーン「弁解は聞いてもらえそうにないな」

エリック「弁解!?んなもんは地獄で嘆きながらくっちゃべってろ!!!クソが!!!」

ディーン「するつもりはないさ。....気が済んだか?スラム虐殺の犯人が分かって、やっと殺せる機会がやって来たんだろ?」

エリック「....知ってたのか」

ディーン「ああ。お前さんが夢に出てきたって言ったろ。あの時からさ」


エリック「....畜生....ちくしょおおおおおおおおおおおお!!!」

ディーン「残念だよ。相棒。」


パーン

エリック「グハッ....ぁぁ...クソッタレ.....はァ....はぁ....っ............」

ディーン「お前にだけは銃口は向けたくなかったよ...あばよ、エリック・リンクス」

情報屋「....誰が悪党で誰が正義なんだろうな」

ディーン「....そんなもんはクソ喰らえだ」

エリック「くそがァァァァ!はぁ....はぁ....ぐっ! ....。............」










15秒ほど間





エリック「んん....なんだ....ここ」

情報屋「よぉ。坊主。」

エリック「!?お前....あの時いた....痛ててて」

情報屋「状況が掴めてねぇようだなぁ?プーレーリーオイスター、どうだ」

エリック「要らねぇよ。ん?マイク!?おい!マイク!!!」

マイク「ほへーお金ちゃん....。…!?ななななななんだ!!!ここは!」

情報屋「情報屋さ。残念ながらお前さんら、生きてるようだな。」

エリック「どういう事だよ....。説明しろ。」

マイク「ハッキングしてた所から記憶が無いぞ....」

情報屋「アタシが説明するより....ほら、これ読め。その方が良くわかるはずだ。」

エリック「あ?なんだこれ....マイク、読んでくれ」

マイク「お、おう....なになに....『 親愛なるかつての相棒へ、ディーン・パイソン』....ディーンちゃん!?」

エリック「良いから続き読めよ」

マイク「ゴホン、『 この手紙を読んでいるという事は目が覚めたんだな』....」


ディーン『 状況が掴めねぇだろうから説明してやるよ。確かに俺はお前を撃ち抜いた。だが急所は外してある。そこの女に感謝するんだな。応急処置して連れ帰ったのはその女だ。』

エリック「....なんで殺さなかったんだ」

ディーン『 勘違いするなよ。情で殺さなかった訳じゃねぇ。その前に、説明しないといけないことがある。....スラムの大量虐殺についてだ』

エリック「!?」

ディーン『 当時俺はマフィアに雇われた唯の殺し屋だった。マフィアから下された任務は「クロコダイル製造元である、とあるスラム街を壊滅させる」事だった。』

エリック「....!?それって....」

ディーン『 そのスラム街は住人全体がグルであの悪魔のヤクを製造、流通させてたんだ。スラム街自体が最早ひとつのそしきだった組織だった。....お前さんの両親はその製造に関わる人間だった。どうやら組織に見捨てられてスケープゴートにされてたようだがな。』

エリック「そんな....そんな事が....」

ディーン『 勿論俺は任務を遂行したよ。たった一人の少年を除いてな。それがエリック、お前さんだ。』

エリック「........」

マイク「続き、読んでも大丈夫かい?」

エリック「....頼む」

ディーン『 さっきも言ったが、同情で2度も生かしたわけじゃねぇ。もし、まだ俺を憎んでいるなら腕を磨いて殺しに来い。安心しろ。俺を殺しても憎む奴なんてもう居ない。憎しみの連鎖ってやつか?お前の手で断ち切るといい。俺を殺すも自由に生きるもお前次第さ。まぁクロコダイルを根絶やしにして俺は待ってるぜ


エリック「....ハハ....」

マイク「ん?まだあるぞ?えっと....」

ディーン『 追伸。隣のショートホープにもよろしくな』

マイク「余計なお世話だああああああああ!!」


エリック「....はっ....殺しに来いってか....」


情報屋「マイクの坊主、お前の分もあるぜ?」

マイク「え?....なになに.『 ショートホープ君、座りすぎも程々にな。追伸、悪ぃがお前の口座の金は全部俺が頂いた。自分の口座のセキュリティぐらい、もうちょっと厳重にしたらどうだ?』....なんだってえええええええええ!!!!?」

情報屋「アッハッハッハッハッ!こいつぁおもしおもしれぇ!」

マイク「なんでこんな短いんだよ!!!俺の金は!!!?」

情報屋「残念ながらお前さんたちはゼロから再スタートってこったなぁ、アッハッハッハ!!」

エリック「そうか....そういう事か....ハハハ」

情報屋「アタシは情報屋だ。それでいいならてめぇらを面倒見るぜ?」

エリック「情けねぇ....」

マイク「お願いします....あぁ....お金ちゃん....」

情報屋「エリックの坊主、俺の元にくるってんならなにか要望があれば応えるが」

エリック「....腕のいい彫り師を紹介してくれ」

情報屋「構わないが....何故だ?」

エリック「リンクス....山猫のタトゥーを背中に入れる」

情報屋「....ハハ、洒落が効いてるぜ、他には?」

エリック「じゃあ....プレーリーオイスターを。」

情報屋「ハハっ粋だねぇ!」







END