僕と君のいのちの天秤

ノワール →死にたがり少年。自分が大嫌い。(10~12歳)
ブラン →余命三日の少年。生きたいと願う(10~12歳)
ゴードン →ノワールの父。酒浸りDV野郎。(枕殴ってください)
マリア   →ノワールの母。ノワールを生んだと同時に既に故人。
ヴィクトリア →ブランの母。既に故人。
Dr     →ブランの主治医。
使用人アリア→ブランの使用人(メイド)

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ノワール 不問:
ブラン 不問:
ゴードン ♂:
マリア    ♀:
ヴィクトリア ♀:
Dr ♂:
アリア   ♀:

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ゴードンとDrは兼役でも構いません。アリアに関してもヴィクトリアかマリアと兼役で構いません。その場合、5人台本になります。
ゴードン役の方は、枕などクッション性のものをご用意頂き、殴っていただけたら好ましいです。(必須ではございません)

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ゴードン「お前なんて存在しなければよかったんクソガキ!!」(殴りながらが好ましい)


ノワール「ご…ごめんなさい…痛いよ父ちゃん…」


ゴードン「いつ!!誰がお前の親になったんだよ!!」(同様)


ノワール「ごめんなさい…叩かないで…」


ゴードン「早く死ねばいいんだお前なんて!!!出て行け!!!」






Dr 「ごめんね…君の命はもう長くはない…もって3日だ」


ブラン 「いいんです…教えてくださり有難うございます」


Dr 「…驚かないんだね」


ブラン 「ええ…覚悟していたことですので」


Dr 「君は立派だね」


ブラン 「…有難うございます」







ノワール「生きることはこんなにも痛い。生きていく理由が見つからない」


ブラン 「死ぬことはこんなにも辛い。やり残したことは沢山あるのに」


ノワール「…もう死にたい」


ブラン 「…もっと生きていたい」




タイトルコール
僕と君のいのちの天秤



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ノワールの家。

ゴードン「おいクソガキ。酒が切れたからラム酒を買って来い」


ノワール「父ちゃん、お酒なんて…買うお金はとうに…」


ゴードン「お前の意見なんて聞いてねぇんだよ」(バコッ)


ノワール「痛い…父ちゃん…」


ゴードン「おめえのその傷だらけの腕一本でも売ったら二束三文でも金にはなるだろうが!」


ノワール「父ちゃんは…ぼくの腕がなくなってもいいの…?」


ゴードン「しつけえんだよ!!!お前の事を息子と思ったこともねぇ!!!」(バコっ)


ノワール「ごめんなさい…ごめんなさい…」


ゴードン「お前のせいで…マリアは…!!!!」(バコッバコっ)


ノワール「本当に…ごめんなさい…」


ゴードン「早く買って来い!!視界に入ってくるな…」


ノワール「・・・・」


ゴードン「聞いてるのか!!!」


ノワール「…!?はい…ごめんなさい…」






町の中央の公園にて。





ノワール「お酒なんて…買うお金ぼくもってないよ…なんでこんなに役立たずなんだろう…」


ブラン 「きみ、お金持ってないの?」


ノワール「…?だれ?」


ブラン 「僕はブラン。」


ノワール「ぶらん…僕はノワール。」


ブラン 「ノワールきみ、凄い傷だらけだね…大丈夫なのかい?」


ノワール「…」


ブラン 「痣、だけじゃないよね?腕のこの切り傷、痛くないの?」


ノワール「…いたいよ、だいじょうぶ、じゃない…ぼくなんて…」


ブラン 「ぼくなんて?どうしたの?」


ノワール「死んで居なくなってしまえばいいんだ。」


ブラン 「…」


ノワール「ごめん、急に言う事じゃないよね」


ブラン 「…いいんだよ。気にしないで。君さえ良ければ話を聞かせてくれるかな?」


ノワール「君は、いいの?」
 

ブラン 「いいの。となり。失礼するね」


ノワール「…」


ブラン 「死にたいの?」


ノワール「・・・ぼくは、死んじゃえばいいんだ」


ブラン 「なんで?」


ノワール「…僕が生まれたせいで、母ちゃんは死んだんだ。…父ちゃんは僕が生まれなかったら良かったっていつも言うんだ。だから僕は生きていちゃいけないと思っていっぱい腕を切ったんだけど、全然死ねなくて、傷が増えるだけでもっともっと僕は醜くなって…」


ブラン 「…」


ノワール「父ちゃんに更に嫌われて、明日っていう日が来なければいいのにってずっとずっと思ってた。どうすればいいんだろうね。どうしたら、一息に死ねるだろう」


ブラン 「そんなの、死にたいなら心臓を一突きで終わるよ。」


ノワール「そうだよね…」


ブラン 「死ぬことより、生きることを考えようよ」


ノワール「…」


ブラン 「お金がないなら僕のお金をあげる。ほら。金貨があればいいお酒が買える。お父様の役に立ちたいんだろう??」


ノワール「…うん。」


ブラン 「早く帰らないと。そして毎日『明日はいい日になる』って考えるんだ」


ノワール「僕にそんなことできるかな…」


ブラン 「(遮るように)僕、『死にたい』って言葉が大嫌いなんだ。だから君がもっと生きることの素晴らしさを知ってほしい」


ノワール「でも…」


ブラン 「今日はこれでさよなら。また明日、ここで待ってるよ。じゃあね。」


ノワール「あぁ…行っちゃった…お金…僕こんな大金持ってていいのかなぁ。でもこれでいいお酒が買える…父ちゃん、待っててね。」





ゴードン「お前、その酒はどうした、盗んだのか!!!」


ノワール「友達がお金くれて、それで…ちゃんと買ったんだ」


ゴードン「嘘つけ!!!お前に友達なんていない!!!」


ノワール「そんな…」


ゴードン「出ていけ!お前を見ると胸糞わりぃ!!」


ノワール「ごめ…ごめんなさい…」







アリア「ブラン坊ちゃま!!どこに行っていたのですか!!!心配したじゃないですか!!」


ブラン「ああ…アリア、ごめんね。公園へ散歩しに行ったんだ。」


アリア「そんなお体に障るようなことを…」


ブラン「でも、でもね。友達ができたんだ」


アリア「お友達…?」


ブラン「うん、とっても可哀そうで、とても癪に障るお友達。」


アリア「それはお友達なのでしょうか…」


ブラン「うん…明日も公園で会う約束をしたよ」


アリア「…坊ちゃま、そのお体では、もう…」


ブラン「もっと、生きたいな。アリア、僕が死ぬとお仕事がなくなっちゃうね…」


アリア「私(わたくし)の事より…!ブラン坊ちゃまが…!」


ブラン「ど、どうしたのアリア?」


アリア「坊ちゃま…ブラン坊ちゃまが居なくなってしまうのは…とても辛いです…」


ブラン「…アリア?」


アリア「私は、お仕事として貴方様にお仕えしてきました。でも坊ちゃまは無邪気に私に接してくれて…」


ブラン「…」


アリア「とても嬉しかったんです。まるで弟が出来た様で…このお方は私が絶対守ると決めたんです。それなのに…」


ブラン「そんな風に思ってくれてたんだね…」


アリア「でも!でもこれじゃ、私は…!!!」


ブラン「ありがとう。」


アリア「!?…坊ちゃま…」


ブラン「とっても嬉しいよ。ほんとにね。そんなアリアも救えないぼくは…ぼくは…」


アリア「そんなにご自分を責めないでくださいまし…」


Dr  「お取込み中申し訳ないね。失礼するよ。」


ブラン「ドクター…?」


Dr  「ちょっとね、色々と話しに来た。」


ブラン「…はい」


Dr  「すまないね。アリアさんは居てくれて構わないよ。」


アリア「…ありがとうございます」


Dr  「君の体は、変わらず病に蝕まれている状態だ。なのに今日はどこかに出掛けていたようだね?」


ブラン「はい…ごめんなさい。」


Dr  「君たち親子は本当に困ったなぁ。君のお母さんも「余命なんて知らない!!ギリギリまで楽しく生きる!」って言って相当お転婆だったんだから。」


ブラン「…お母様…だからあんなに最期まで元気だったんだね…」


Dr  「君のその行動は、何を招くか分かっているかい?」


ブラン「…無茶をしたら…余計に…死が早まる…」


Dr  「よくわかっているじゃないか。」


ブラン「でも…」


Dr  「君の行動は死を早める。医師としてそれは見逃せない。」


ブラン「そんな…!」


アリア「ドクター!…坊ちゃまは、坊ちゃまは少しでも…!最期まで…!!」


Dr  「とでもいうと思ったかい?」


ブラン「!?」


アリア「どういうことでしょう…?」


Dr  「医師としては見逃せない。それは変わらないよ。だけど…君は悔いなく最後まで生きたいんだろう?人間としては止められないさ…君は君のお母様とよく似ている。ははは…医師失格だね、僕は」



アリア「まぁ…!!よかったですわね坊ちゃま!!!」


ブラン「ドクター。…本当にありがとう…」







ノワール「また出て行けって言われちゃった。…近くに森があるから、マッチもあるしそこで暖を取って寝よう。父ちゃんにはぼくは必要がないから…うん…寂しいけど…仕方ないや。」



森の中にて



ノワール「ブラン…また明日って言ってくれたけど…行っていいのかな…僕でいいのかな…。…すぅ…すー。」





公園に出向くノワール。昨日と同じ場所にブランは居た。


ブラン「こんにちは。遅かったね。」


ノワール「ご、ごめんなさいっ!」


ブラン「?なんで謝るの?」


ノワール「?…叩かないの…?」


ブラン「…? ぷっ…あはははっ」


ノワール「え?なんで!?えっ僕なんかした!?」


ブラン「(笑いながら)いやいやぁ、時間も指定してなかったのに叩くわけがないでしょう?」


ノワール「…そ、そっか…」


ブラン「ささ、座って座って。今日はね、お菓子を持ってきたんだ、一緒にたべよう!」


ノワール「い、いいの?」


ブラン「当たり前だよ!だって友達でしょう?」


ノワール「…ともだち…」


ブラン「そう!友達!違った…かな?」


ノワール「…く…ひくっ…(泣いている)」


ブラン「え?なんで!?えっ僕なんかした!?」


ノワール「ともだち…なんて…ひっく…初めて…言われたから…」


ブラン「そうなんだね。…じゃあ僕ら、お互いに初めての友達だね!」


ノワール「ごめんね…初めての友達がぼくなんかじゃ…」


ブラン「君でよかったって思ってるよ?それに…」


ノワール「それに?」


ブラン「そこはありがとうって言ってほしかったなー」


ノワール「初めての友達…。…(鼻を啜って)…ありがとう。」


ブラン「上出来だよ!ねぇ!お菓子早く食べようよ!!チョコに、クッキーに、キャンディもたくさんあるんだよ!」


ノワール「わぁ…!こんなにいっぱい!!どれもおいしそう!ありがとうブラン!」


ブラン「ふふっ。ノワール、初めて笑ってくれたね。」


ノワール「…ありがとう。」






アリア「おかえりなさい、坊ちゃま」


ブラン「ん。ただいま」


アリア「お友達…どうでしたか?」


ブラン「初めて…笑ってくれた」


アリア「それはよかったです。お菓子、役に立ちましたか?」


ブラン「二人でおいしく食べたよ、ありがとうアリア。」


アリア「今日はお疲れになったでしょう。今日は早くおやすみしましょう」


ブラン「うん…おやすみ、アリア」





マリア「…くん、ブラン君」


ブラン「…ん…?…んんー…だれ…?」


マリア「わたしは、マリア。」


ブラン「まりあ、さん??」


マリア「そう、ノワールと仲良くしてくれてるみたいで、感謝しているわ」


ブラン「??…。マリアさんノワールの…」


マリア「そう、母よ」


ブラン「えっ…ノワールのお母さんって…」


マリア「ええ。既に死んでいるわ」


ブラン「ってことは僕は…」


マリア「大丈夫。まだあなたはこちら側ではないわ。安心して」


ブラン「どういうこと…?」


マリア「どうしてもお礼が言いたくてね。あの子、環境が優しくない状態で」


ブラン「そうですね。少しだけ…聞きました。あと死にたい、とも」


マリア「それは私のせいなのよ。私のせいであの人は…ゴードンは、わが子を…生まれた尊い命を愛せなかったの」


ブラン「そうだったんですね…。」


マリア「誰も悪くないの…だからせめてノワールには生きる喜びを知ってほしかったの」


ブラン「生きる喜び…」


マリア「貴方には酷だけど…最期の日にきっとノワールは貴方に会いに来る」


ブラン「会いに…?最期にノワールに会えるの…?」


マリア「えぇ。きっと。」


ブラン「そっかぁ…。へへへ。ノワールが来るまで頑張らなきゃだね。」


マリア「本当にありがとう…ありがとう…ありがとう…」


ブラン「泣かないでください…」


マリア「貴方だって…辛いはずなのに…」


ブラン「覚悟はしてます。…辛いけど、友達出来たしいい思い出にしたい。だから、大丈夫です」


マリア「本当にありがとう…ブラン君に…幸あらんことを…」





マリア「いい子に出会えてよかったわねノワール。さて、今度は酒浸りの困ったさんのところに叱りに行きましょうか」




ノワール「今日も寒いなあ…マッチもないし…でも家に入れないし…」


ゴードン「おい」


ノワール「!? はいっ!!?」


ゴードン「入れ」


ノワール「えっ!?いいの!?」


ゴードン「いいから入れってんだ!」


ノワール「は、はい!!!!」


ゴードン「この辺のやつ勝手に食っとけ。ベッドも掃除してやったからそこでくたばってろ。」


ノワール「と、父ちゃん!」


ゴードン「なんだよしつけぇな」


ノワール「あ、ありがとう……ございます…」


ゴードン「…あー慣れねぇことするもんじゃねぇなー。俺は寝る。」


ノワール「う、うん…じゃあ…いただきます!!!」




ヴィク「くん…ノワール君」


ノワール「ふぇ・・・だぁれ…?」


ヴィク「私はヴィクトリア。あなたはノワール君ね」


ノワール「そう…です…けど」


ヴィク「いつもブランのわがままに付き合ってくれてありがとうね。」


ノワール「わがままなんてそんな!!友達って言ってくれたり、お菓子くれたり…初めて生きてるって実感したんです!ブランくんのおかげです!!!…って、あれ?」


ヴィク「ふふふ、そうよ、ブランの母親よ。訳あって遠いところに住んでるんだけどね」


ノワール「ブランくんのかあちゃん…」


ヴィク「今日はね、お願いがあってここに来たの。聞いてくれるかしら?」


ノワール「も、もちろんです」


ヴィク「私たちの家系は代々病弱で、短命なの。」


ノワール「…えっ…ということは」


ヴィク「ブランだけは健康で居てほしかった、でも現実は厳しくて、あんな子供なのに重い病気にかかっちゃってね…」


ノワール「…病気!?」


ヴィク「ええ。命を蝕む重い病気。余命は…(泣きそうになりながら)明日まで」


ノワール「えっ!?あんなに元気だったのに!!」


ヴィク「だからね、私からもお願いしたいの。もう死にたいなんて言わないで。ブランに…最期に最高の笑顔を見せてあげて。あなたは必要なの。死んでいい人間なんてこの世にいないわ…」


ノワール「僕は、生きていい人間…」


ヴィク「そう、辛い環境の中あなたは頑張ったわ。だからあなたは死んではいけない。ブランの分も生きてほしいの」


ノワール「…」


ヴィク「ごめんなさいね、押しつけがましいお願いだけど…やっぱり辛いわよね」


ノワール「…(深呼吸)そんなことありません!約束します!!」


ヴィク「ありがとう。生きてくれて、ありがとう…これで私も心置きなく上に行けるわ」


ノワール「上?」


ヴィク「こっちの話。気にしないで。心から感謝するわ。…じゃあね。」






ノワール「ブラン…全然教えてくれなかった…そんな病気にかかってるなんて…明日死ぬなんて…くっ…ひっく…うわあああああぁぁぁん」






アリア「ドクター、どうですか!」


Dr  「どうも何も…今意識を保ってるのが奇跡だよ。」


アリア「そんな…」


Dr  「手の施しようがない…っ。ははっ…僕は本当に…医者失格だ…」


ブラン「(苦しそうに)いいんだよ…アリア…運命は変えられ…ないんだ…僕は…受け入れる…。それと…ドクター…僕の為に…最善を尽くしてくれて…僕の人生を全うさせてくれて…ありがとう…」


Dr「僕が治してあげられないばっかりに…感心するよ。君にお礼を言われてしまうとはね。でも…疲れてしまうから喋らないほうがいい。」


アリア「そうです坊ちゃん、あまりご無理はなs…」


ノワール「ブランくんはここですか!!!!ハァハァ…」


Dr  「なんだい君は!面会は受付を通しなさい!」


ブラン「いいんだ…ドクター…僕の友達だ…通してあげて…」


Dr  「そうなのかい?…そうか、君が…」


ノワール「すみません…ハァハァ…」


アリア「あなたがノワール君…来てくれてありがとう…」


ノワール「あっ…」


ブラン「ありがとう…来てくれて…でも…言わなかったのに…なんで…」


ノワール「ブランのかあちゃんに聞いたんだ…」


ブラン「母さん…!?あぁ…そっか…そうだね…」


ノワール「言いたいことは山ほどあるけど…僕、生きるよ」


ブラン「!?」


ノワール「こんな君の前で死にたいだなんて…ほんとごめん…」


ブラン「気にして…ないよ」


ノワール「だから!!!!」


ブラン「!?」


ノワール「君の分まで、絶対生きる。もう死にたいなんて言わない。」


ブラン「あれ、君は笑顔なのに…あれ…涙が…出てくる…なんで…」


ノワール「泣いていいんだよ、もう僕は死にたがりじゃない。強くなる。」


ブラン「ありがとう…本当にありがとう…死にたくないよ…死にたくないよぉ…」


ノワール「うん…うん…怖いよね…」


ブラン「でもね。。なにより…ありがとう…君と出会えて…本当に…よかっ…た…」





Dr「…21時34分…頑張ったね、ブランくん。」


アリア「坊ちゃま…坊ちゃま…あああああああぁぁぁぁ(咽び泣く)」






ノワールM そうしてブランは遠い世界に旅立っていった。君は命の尊さを命をもって教えてくれた。それからの生活は、父ちゃんもお酒をやめて、殴ってこなくなり、お使いだったり、お手伝いをしたらぎこちなく震えながらだけど大きな手で撫でてくれる。



ゴードン「腹が減ったな。飯にするか」


ノワール「うん!僕!パンの用意するね!」


ゴードン「お、おい!」


ノワール「なぁに?父ちゃん」


ゴードン「ナイフには…気を付けろよ」


ノワール「え?」


ゴードン「っ!なんでもねぇ!!早く準備しろ!!!!」



ノワールM こんな風に、父ちゃんはぼくの心配もしてくれるようになったんだ。でも…なんでだろうね?父ちゃんに聞いても「マリアに怒られた」なんて訳の分からないことを言うんだ。


…でも…



ゴードン「おい、パンは切れたかよ?」


ノワール「うん!ほら!きれいに切れたよ!!父ちゃん!!」


ゴードン「…よし。よくやったじゃねぇか。ノワール




ノワールM この撫でてくれるおっきな手が今の僕の幸せかな。髪の毛がぐちゃぐちゃになっちゃうけど。ブラン、僕は生きるよ。こんなにもあったかい生活をぼくは捨てようとしてたんだね。この幸せを大切にする。また君に会える日はまだまだ遠くなりそうだよ。





ブランM もっと生きたかった、その後悔は変わらないけど、ノワール、君の命の天秤がちゃんと「生きる」に傾いてくれて僕は本当にうれしいよ。遠い遠いお空から、これからの君を見守っていくよ。






ノワール「出会ってくれて、ありがとう。」


ブラン「生きてくれて、ありがとう」



END



あとがき。

とても思い入れのある台本です。
難産でした...!是非ご利用してみてください!